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構築法
どんなトレーニングをしようか?と思った時に、どこからか練習メニューを拾ってきてそれをそのままやらせるというのは、はっきり言ってナンセンスですね(こういう練習メニュー紹介サイトを作った私が言うのも何なんですが…)。監督は常にチームを分析しておいて「どういう戦略を取るべきか」「何が足りないのか」等を明確にし、それを補う為のトレーニングをさせなければダメです(そして、それをスタッフに伝えて共有する事)。
監督をやる以上、預かった子ども達を上達させなければいけないという重い責任を背負うべきであり、それゆえに練習を疎かにすべきではありません。練習にも来ないのに試合にだけ顔を出し指図して負けたら怒鳴り散らして帰るなんてのは、許される行為ではありません(もしそういう立場の人が居るのであれば、監督の座を譲るべきです)。
組み立て
練習の進め方として『ウォーミングアップ』『トレーニング1』『トレーニング2』『GAME』という大きな区切りを持たせます(アップ後に意図して『GAME』をやらせる事も極まれにあったりもしますが、大抵はこの流れに沿って行います)。
『ウォーミングアップ』後はやらせたいテーマに沿って練習を進め、最後の『GAME』でそのテーマが発揮できる事を目標にします(なので『GAME』でも単なる紅白戦ではなく、テーマが活用されやすいコートサイズや人数配置・ルール等を設定しなければいけません)。
『ウォーミングアップ』で体を温め関節を柔軟にした後の『トレーニング1』の考え方ですが、私の場合はシンプル化という部分に注力しています。テーマに対して、症状が出やすく一番簡潔明瞭な状況を作り出りだしてあげる事。
例として『攻撃時にコートを広く使う』のがテーマであるならば『11人全員で攻撃時には広がる』という練習ではなく、できるだけシンプルに切り取った状態にしてあげる事が秘訣かなと思っています。私だったら『攻撃は2人だけで広がりを表現できる』ので、2対1のラインドリブル通過をやらせますね(狭いコートと広いコートを作って、どちらが攻めやすいのかを実感させます)。
ABC123
※明らかに広いコートの方が攻めやすいので、コートを広く使う有意性は理解してもらえます。テーマの本質を分からせたら、次の練習メニュー『トレーニング2』を 自分達でそのテーマを使って打開できる様な設定にしておきます。
また私の場合で言うと、表現が難しいんですが『表と裏』を意識します。例えば、攻撃練習の場合には守備側の配置を、守備練習の場合は攻撃側の配置を工夫してたりします(もちろん、コートサイズや配球等も…)。こういう設定をすると『トレーニング1』より少し複雑な練習になり、テーマを実現する為の動きが子ども達に何となく出てきます(頭を使わない選手には厳しいですが…)。もっと具体的に言うと、例えば『隙があればシュートを撃つ』というテーマだったら「そこでシュートでしょ」と直に言えるメニューではなく、時間制限のチーム戦にしてボールを持ちすぎない方が上手くいく環境を作る…とか。『裏』をいじると『表』の現象が出やすくなる、そういうイメージです。
どの練習メニューでもそうなんですが、基本的には一捻りの工夫が必要です。また例を挙げると『シュートの精度』が無いといって単調なシュート練習を繰り返すのではなく、その原因の『精度』を高めるにはどうするのかという所を考えなければいけません。精度がないという『表』の現象に対して、『裏』である原因はなにか?精神的プレッシャー等のメンタルな部分だと思うならば、チーム戦にして決めなければ仲間から責められるとか、個人戦で階級分けされて「絶対決めてやる」みたいな感情を持たせるとか、裏の原因を炙り出す様な何かスパイスを加えてあげるべきです(一捻りの無い単なる反復練習と決めたならば、休む暇を与えずトコトン反復し量を確保!)。原因がメンタルだとすると、単調なシュート練習の中には試合が決定付けられるかどうかの瀬戸際の緊張感は無いので『シュートの精度』を高めるトレーニングにはなりえません。
…で、最後、テーマを実践的に使える設定の『GAME』を行い終了。以上の様な感じで前もってトレーニングメニューを組むんですが、実際にはグランド確保の状況だったり人数が直前まで曖昧だったりと思い通りには行かず臨機応変に対応しなければいけない事の方が多かったりします…。
働きかけ
では、こうして考えた練習メニューを子ども達にどう理解させればいいのか?という所です。何も知らないレベルであれば、まずは教えなければ始まりません。でも、教えて実行させるだけだと、選手は何も考えなくなってしまいます。自分で考えて答えを出さなければ、それは本当に身に付いたとは言えないですよね。まずはやらせてみて失敗させて言葉を投げかけて考えさせる。答えを言ってしまうのではなく、子どもが気付く様なポイントやヒントを与えて解決策にうまく誘導する事が大切なのです。
例えば具体的に…。練習テーマの現象が出たところでフリーズ(止めて少し戻し、その場面を使う事)。この時「この場面ではこうする」とすぐに教えてしまってはダメですね。本当は「なぜ出来ないんだ!こうだろ!」と説明したいんですがそこをグッと堪え、「どうしてそのプレーをしたの?」「今この状況だから、もっといいプレーできないかな?」「その為には何をしたらいい?」みたいな感じで問いかけつつ返答を引き出すという事です。ただコレやると一人の子がターゲットになってしまうので「皆も同じだよ」と付け加えるのがコツだったりします。
こういう事をたくさん学びたければ、まずは日本サッカー協会指導者ライセンスのC級を受けてみてください。2日で貰えるD級ではなく、取得に何ヶ月もかかり更新にも講習会受講が必要なC級です。コーチングの方法論を具体的にみっちり鍛えてもらえるので、確実に指導者としてレベルアップできますよ。インストラクターに凹まされ愕然としますが、向上心さえあれば何とかなります。ちなみにその先B級A級S級と続くのですが、これ以上のレベルは協会の推薦とかもらわないと受ける事もできないライセンスになってます。